teacup. [ 掲示板 ] [ 掲示板作成 ] [ 有料掲示板 ] [ ブログ ]


新着順:439/1941 記事一覧表示 | 《前のページ | 次のページ》

大栗博司先生「強い力と弱い力」(2013年1月30日第1刷発行、幻冬舎新書)

 投稿者:たけのや  投稿日:2013年 2月 1日(金)03時07分21秒
  通報 返信・引用
  大栗博司先生「強い力と弱い力」(2013年1月30日第1刷発行、幻冬舎新書)読みました。
大栗先生の前著「重力とは何か」(2012年5月30日第1刷発行、幻冬舎新書)は、未知の世界へ分け入る様な、いくつもの驚きで読み進んだ様に思いますが、今回は、今目の前にあるよく分からないものを、その部分部分を丁寧に解説して頂いた様な感じがします。

一般相対論を、金門海峡の両岸をつなぐ一つの目的のために建設されたゴールデンゲートブリッジに例えるならば、素粒子の標準模型は新宿駅。様々な目的を持って作られ、増改築を重ねた温泉旅館の様な構造とも評しています。これを創り上げた40名を越えるノーベル賞受賞者を含む多くの物理学者の苦悩と成果を、それぞれの内容をよく知り、理解する著者が、歴史的背景を含めて説明して頂いています。

湯川秀樹自伝「旅人」から、「未知の世界を探求する人々は、地図を持たない旅行者である」を引用されて「地図を持たない旅人たちが作り上げた理論」と書かれています。本書は、この解き明かされた地図の各所を解りやすく解説している様に思われます。

2012年10月26日に大栗先生が講演された「ヒッグス粒子とは何か」(http://6246.teacup.com/asmem/bbs/2637)に構成はよく似た所がありますが、解説が加わり解りやすくなっています。「何故、ここが解らない事が判ったのだろう?」と不思議に思うほど、うまい所に解説が付け加わっています。

講演の際使った、読者の記憶を助ける「クオークの小学校、6学年、各学年3組」は、今回は中学、高校も加わって6-3-3制になっています。大学と、大学院はダークマターとダークエネルギーのために取ってある様です。理論物理学者を3タイプに分け、その最上級「どうしてそんなことを思いついたのか見当も付かない「魔法使い」タイプの南部陽一郎先生の事も1章設けて書かれています。

本書全体として、構成がよく練られている感じがしますし、迷子にならない様に、各章の頭に「粒子相関図」が入り、分かりやすくなっています。素粒子の標準模型自体、私の様な素人には難しいのですが、著者の丁寧で、真摯な書きぶりに何度も助けられて読み終える事が出来ました。

一読をお勧めします。
 
 
》記事一覧表示

新着順:439/1941 《前のページ | 次のページ》
/1941